著者:ニコラス・ミストレッタ
あなたの会社で大きなプロジェクトのリーダーに選ばれたと想像してみてください。おそらく、あなたはセールスマネージャー、アカウントマネージャー、あるいはプロジェクトマネージャーでしょう。いずれにしても、このプロジェクトを成功させるのはあなたの責任です。それはあなたの責任であり、あなたの要件収集-成功の確率を最大するための最初のステップ-にかかっています。
この入門ガイドでは、下記の要件収集の事項について解説します。
- 要件収集とは何か
- 要件収集の責任者は誰か
- 要件収集が重要な理由
- 要件収集を効果的に処理する方法
- ドキュメント化-要件収集の最初のステップ
- 進捗状況のモニタリング
>>参考資料・マインドマップソフトで職場の生産性を向上させる3つの方法とは
新しいプロジェクトを始めるときには、リソース、ツール、消耗品、人材など必ず必要なものがあります。予算を把握し、渡された予算を守らなければなりません。そして、このプロジェクトの完了までのタイムラインと、その完了までの主要なマイルストーンを見積もる必要があります。
このプロジェクトを成功裏に立ち上げるためには何が必要なのか、という質問に答えるのが、ビジネス要件の収集です。ここで、いくつかの詳細を掘り下げてみましょう。
要件収集とは何か
あなたがシェフだと想像してみてください。数百人規模の結婚披露宴を計画しなければならず、それを成功させるにはどうすればよいかを考えるのはあなた次第です。必要とされるスタッフ、食材やレシピ、必要とされる無数の消耗品に至るまで、最初から最後まですべてを計画するのはあなた次第です。
要件の収集は、すべての新しいベンチャーやプロジェクトの最初のステップです。寡聞にして鋭敏な男ベン・フランクリンの有名な言葉に「準備に失敗することは、失敗する準備をしている。」この言葉は、それを要約したものです。
PMI (Project Management Institute)によると、失敗したプロジェクトの70%は、この重要な最初のステップをうまく実行できなかったことが直接の原因とのことです。つまり要件収集が過小評価され、おそらく十分に活用されていません。
ビジネス要件収集を次のような質問に答える探索的なプロセスとして考えてください。
- 誰がこのプロジェクトに関与するか。
- どのようなリスクまたは障害が予期されるか。
- 目標は何か。また、どのように成功を定義するか。
- タイムラインは何か?
- 予算は?
要件収集には、技術的なもの、法律的なものなど、さまざまなタイプのものがありますが、このガイドではそこまで具体的には説明しません。ただ、調査、計画、文書化、モニタリングなど、最初から最後まですべてのニーズに対応していることを覚えておいてください。
ビジネス要件収集の責任者は誰か
簡単に言うと状況によりけりです。業界にもよりますし、プロジェクトにもよります。結婚披露宴の例を覚えていますか?シェフがシナリオの要件収集に責任がありました。
多くの人々が要件収集の責任者になり得ます。
- ビジネスアナリスト
- データアナリスト
- システムアナリスト
- 担当の専門家
プロジェクト計画が規模が大きく一人で管理できない場合、プロジェクトマネージャーが上記のリストの全員を監督し、他のマネージャーを管理することは可能でしょうか?この質問の答えも「状況に依りけり」で抜け道のような気がしますが、すべてのプロジェクトは規模、範囲、目的が異なり、実際にいくつものの要因に依存しているのです。
なぜ要件収集が重要な理由
シェフと結婚披露宴の例を使って説明してみましょう。ゲストの人数や、サーバーやバーテンダーの経験値を考慮していなかったらどうなるでしょうか?もし彼女が食物アレルギーの情報を得ていなかったら?それは文字通り致命的なミスになりかねません。
プロジェクトを進めながら決めることはできないのです。
真剣に要件収集しなかったり、また完全に軽く見積もった場合、何が起こるかみてみましょう。
- 予期せぬリスクや障害物への遭遇
- リソースを使い切り、間違ったリソースをプロジェクトに使用
- 予算超過
- 肝心の納期未達
- 最終的にプロジェクト失敗
要件収集を文書化することは、上記のすべてのほかに、さらに2つの目的で役立ちます。
- プロジェクトの進化の詳細、成功のために必要なすべての活動を参照する場所として機能し、プロジェクトの実装の概要を示します。
- クライアントや利害関係者(影響力がある人は誰でも)のための青写真として機能し、明確な期待値を設定します。これらの人々は、プロジェクトの途中で予算を増やさなければならないなどという言い訳は聞きたくないでしょう。
要件収集のための文書は、誰が、何を、いつ、どこで、なぜ、という質問に答えるものでなければなりません。
要件収集を効果的に処理する方法
このシリーズの次の2つの記事で、要件収集ツールとテクニック、および要件収集のプロセスについて、ステップ・バイ・ステップのガイドを含めて具体的に説明します。しかし、今のところは、ビジネス要件収集を効果的に管理することが何を意味するのかを見てみましょう。
まず、誰かが-ひとり、二人や多数でもなく-プロジェクトのリーダーにならなければなりません。責任者はひとりがでなければなりません。これは、プロジェクトマネジメントの知識やスキルだけでなく、優れたリーダーシップスキルも必要とされる重要な役割です。フットボールには昔から「クォーターバックが二人いたら、本当はひとりもいない」ということわざがあります。
チームの全員が、誰が責任者なのか、なぜこの役割がプロジェクトの成功のために重要なのかを理解していなければなりません。また、プロジェクトの進捗状況や、途中で発生した懸念事項や問題があれば、いつでもあなたに報告できることを知っておく必要があります。
第二に、誰がプロジェクトマネージャーを選んでいるのか?これらの人々は、このプロジェクトの主要な利害関係者を代表しています。彼らはプロジェクトリーダーを選ぶ責任があり、プロジェクトリーダーは最初から最後まで彼らに答えなければなりません。
主な利害関係者はビジネスパートナー、製造業者、役員、または部門長です。これらの人々はブレーンストーミング、分析、プロジェクトリーダーからの要求を承認し、予算およびタイムラインを承認するのに関わります。彼らは常にアップデートを期待しています。そして、彼らが最も聞きたくないのは納期超過や予算超過です。
シェフにとって、重要な利害関係者は-結婚について少しでもわかっているなら-新婦の母親(新郎の場合もあります)であり、彼女の期待は大きいものです。彼女の関与があるとシェフは落胆していきます。
ドキュメント化 – 要件収集の最初のステップ
あなたがプロジェクトリーダーであれば、まず最初に要件収集プロセスを開始して、その後に続けたいと思うでしょう。これは、主要な利害関係者にインタビューし、以下のような質問をすることを意味します。
- このプロジェクトのどのような点に興味があり、参加したいと思っているのか。
- このプロジェクトの目標や希望は何か。
- 期待していることは何か。
- 懸念事項は何か。
業界やプロジェクトによっては、他にも質問をする必要があるかもしれませんが、ここから始めるのが良いでしょう。
主要な各利害関係者からのすべての答えを書き留めましょう。プロジェクトスコープと上の質問を完全に理解し、リードしたり、役割やタスクを割り当てたりすることはできません。できるだけ速度低下なくプロジェクトの初めから終わりまで遂行できるか。-得た答えでロードマップの作成が可能になります。
要件収集計画は、実行可能、測定可能、定量化可能でなければなりません。それには、以下の4つの重要な側面が含まれている必要があります。
- タイムラインの作成。プロジェクトの各フェーズの期限を設定する必要があります。プロジェクトのいくつかは、他のタスクの完了に依存します。シェフは、彼女が正しい材料を持ってくるまで調理を開始することはできません。
- チーム組み立て。誰が参加可能で、プロジェクトに必要な専門知識とスキルを持っているか。あなたが探しているのはスペシャリスト、つまり自分の役割に長けた人たちです。
- リスク把握。どのようなリスクがプロジェクトに影響を及ぼす可能性があるのか?スコープ、予算、時間の面で具体的にどのようなリスクが何でしょうか。
- 主要な分野のそれぞれの目標を概説。タイムラインの目標、スコープの目標、予算の目標は何でしょうか。
完成したら、承認のためにあなたの主要な利害関係者に確認しましょう。
進捗状況のモニタリング
主要なステークホルダーに提示した要件の承認が得られたら、それをタイムラインとプロジェクトプロセスに落とし込みます。これで要件収集計画が完了します。
いまそれはプロジェクトの各段階、各チーム、およびすべてのタスクを測定し、追跡する方法を見つけます。これにより、計画がある点にとどまり、リスクと不備を最小限に抑えることができます。
あなたが収集したデータは食物連鎖のトップを行くことになります。利害関係者は、特定の間隔での進捗報告を期待しています。彼らは、範囲、時間、予算など、合意された目標を達成しているかどうかを確認したがっています。
もしシェフが土壇場で天気予報が悪化し、屋外での結婚式を屋内で行うことになったとしたら、新婦の母親は新しいプランを見て承認することを期待するでしょう。ほとんどの方は必ず誰かに答えてもらうことになりますし、要件収集に関しては確かにそうなのです。
次回は、もう少しカーテンを剥がして、要件収集を成功させるために必要なツールやテクニックをご紹介します。