著者: リアン・アームストロング
A地点からB地点への移動には、スマホの Googleマップであろうと、昔ながらの折り曲げできない紙の地図でも、道筋を示した地図は欠かせません。
同様に、確認地点や迂回路、旅程などを設定し、段階的な計画を立てる際にも見やすいナビがあれば、最も効率的なルートで目的地(または最終目的地)に到達することができます。
製品開発は段階を経ていくプロセスであるため道筋を作成することで、新製品や改良された製品を成功裏に生み出し、世に出す確率を高めることができます。
製品開発ロードマップは、戦略的なツールとして、あなたとあなたのチームに以下のようなメリットをもたらします。
- 新しいアイディアを見いだし、取り交わす
- 創造的なプロセスにより効果的に協働
- 進捗状況をリアルタイムに伝達
戦略立案がうまくいかない最大の理由の一つに、コミュニケーション不足が挙げられています。
そして、アイディア、目標、戦術を他者に伝える最も効果的な方法の一つが視覚的なマップであることから、マップの作成方法を知っておくことは価値のあるスキルと言えます。
この実践的なガイドでは、製品開発ロードマップを作成するための具体的な手順とサンプルテンプレートを紹介します。
なぜ製品開発ロードマップが必要なのか
製品開発において、ユーザーニーズや設計基準を定義し、それを満たすことがいかに重要であるかを考えると、詳細な製品開発ロードマップなしにこれらの目標を達成しようするのは、ビジネス上理にかないません。
新しい製品やサービスの開発は、複雑なプロセスであり、数ヶ月(あるいは数年)かかることもあります。特に最近の世界的な出来事や混乱の大きさを考えると、今後の製品開発計画には、これまで以上に合理性と俊敏性が求められるでしょう。
製品開発戦略のテンプレートを作成して方向性を決めることには、以下のようなメリットがあります。
- 主要なマイルストーンを設定し、製品開発プロセスの各段階のステップとサブステップを分ける
- 製品開発の流れを最適化するために、様々な部門のチームメンバー間でタスクを文書化し、割り当て、調整できる
- 優先順位の変更や利害関係者からのフィードバックに対応するため、方向性や進捗状況を監視、更新、調整する
製品開発には、新製品や改良品をコンセプトから市場に送り出すために必要な、すべての手順とすべての部門が含まれます。
設計、品質管理、マーケティング、販売の各チームは、全員がどこに向かっているのか、どのようなルートがあるのかを明確に把握していないと、迷子になったり、お互いを見失ったり、堂々巡りになってしまう可能性があります。
優れた製品開発ロードマップは、視覚的にもインパクトがある
ロードマップの作成方法を説明する前に、ロードマップの特徴を確認しておきましょう。
まず第一に、優れたマップは言うまでもなく下記を満たします。
- 視覚的
- インパクトがある
- 簡単に共有できる
例えば、ユーザーの賛同を得て、理解を深め、チームワークを高めるためには、テキストやスプレッドシートを使った煩雑な計画では意味がありません。
その代わりに、MindManagerのようなデジタルマップ、ダイアグラム、フローチャートを使って、目標とその達成方法をドキュメント化することで、戦略を明確にし、構造化することができます。
製品開発のロードマップに使用するフレームワークは、以下のようなものが理想的です。
- 上から下まで360度の視点で、複雑さを軽減し、理解を促進し、コミュニケーションを向上させる
- 製品のリソース、予算、開発タスクに関連するデータの収集と統合を容易にする
- 部門間にまたがったチーム間での情報共有を容易にする
あなたの会社の製品開発フローを把握するための適切なツールやソフトウェアはそろっているでしょうか?
それでは早速、製品を設計図からエンドユーザーに届けるための製品開発戦略テンプレートをいくつか作成してみましょう。
製品開発のロードマップを段階的に構築
新製品を開発する場合も、既存の製品を改良する場合も、製品開発プロセスでは5つの段階を経ることになります。
- 新製品のアイディアを考えたり、改良したりする
- 市場や競合の調査を行う
- 製品の設計、テスト、および微調整
- 製品の発売
- マーケティングと販売の測定
ここでは、製品開発のロードマップを作成するための例として、アイディア創出と製品設計の2つの段階を紹介します。
商品開発のためのブレインストーミング・ロードマップの作り方
独創的なアイディアを具体化するときも、既存の製品やサービスを刷新するときも、コンセプトマップはブレインストーミングのプロセスを視覚化するのに最適なツールです。
ここでは、4つの簡単な手順で、デジタルコンセプトマップを製品開発戦略のテンプレートの一部にする方法をご紹介します。
手順1: 商品開発チームで検討したい中心的なトピックを、マップの中央に枠で囲みます。
例えば、既存の会計ソフトを強化するためのアイディアをグループで検討する場合、次のようなテーマが考えられます。
- ソフトウェアの強化(Software Enhancement)
手順2:中心となるトピックからの分岐を、製品の作成や改良のための具体的なアイディアにつなげます。
この例では、「ソフトウェアの強化」というトピックが、3つの実行可能な改善案に分岐しています。
- 新機能の追加(Add a New Feature)
- ヘルプチャットボットの導入(Incorporate a Help Chatbot)
- 専任のサポートチームへのアクセスを提供(Provide Access to a Dedicated Support Team)
プロからのアドバイス:デジタルマップを使用する利点は、チームがアイディアをすぐにビジュアルに共有し、議論し、手を加えられることです。
手順3:マップにサブトピックを追加してより具体的な考えを示していきます。
このシナリオでは、チームメンバーが最終的に下記を繋げました。
- 新機能に「給与計算(Payroll)」を追加
- 利点と制限事項(Benefits と Limitations)についてヘルプチャットボットを導入
- 専任のサポートチームへのアクセスを提供するに、コスト(Cost)、トレーニング(Training)、コールセンター(Call Center)、さらに「コスト(Cost)」「稼働時間(Hours of Operation)」「信頼性(Reliability)」「顧客価値(Customer Value)」をリンク
手順4: タグ、色、関係線、画像などを追加して、アイディア同志の関係を強調したり定義したりします。
あなたのチームの使用例を次に示します。
- 「市場調査(Market Research)」というキーワードでチャットボットの利点とコールセンターの顧客価値を結びつける
- 「サポートチームのコスト(Cost)」と「コールセンターのコスト(Cost)」を同じ色のトピックで表現する
製品の強化について深く掘り下げ、コンセプトマップに追加、変更、再配置する詳細を増やせば増やすほど、チームはアイディアを進めるために何が必要なのかを簡単に視覚化できるようになります。
製品開発のためのデザインプロセス・ロードマップの作成方法
プロセスマップとは、ある特定のプロセス(ここでは新製品のデザインプロセス)をレイアウトして視覚化するためのワークフロー形式の図のことです。
ここでは、製品開発のロードマップにデジタルプロセスマップを組み込む方法を、4つの簡単な手順に分けてご紹介します。
手順1: 製品設計プロセスの手順を、マップのスタート位置を決めて、中心となるトピックの中に製品名を入れてレイアウトします。
この例では、既存の会計ソフトウェア製品を強化するために「新機能の追加」を選択したので、開始位置にラベルを付けます。
- 給与計算アドオン版(Payroll Add-On Version)
手順2: 製品開発の流れの方向性を示すために、矢印を使ってプロセスの各ステップを追加していきます。これらのステップは、短い説明を含む長方形で表すことができます。
この例を簡単に説明すると、新しい給与計算のアドオン機能を設計するための主なステップは次のようになります。
- 給与計算機能のユーザーインターフェースの設計(Design payroll user interface)
- プログラムコードの作成(Write program code)
- 新しいソフトウェアバージョンのプロトタイ作成(Build new software version prototype)
- 社内での機能テスト(Test functionality internally)
- 給与テーブルのアップロード(Upload payroll tables)
- 外部でのユーザー体験のテスト(Test user experience externally)
- フィードバックを最終デザインに反映し、再テスト(Incorporate feedback into final design, and re-test)
手順3: デザインプロセスのどこかで決断が必要な場合は、マップのダイヤモンドの中にそれを入れます。菱形からは複数の矢印が伸び、それぞれが異なる結果につながるようにします。
これであなたのマップは次のようになります。
- 内部機能テスト <満足だったか?Yes もしくは No>
- 外部でのユーザーエクスペリエンスのテスト <満足だったか?Yes もしくは No>
例えば、「機能テスト」のステップに到達したチームは、新しい給与計算機能が、確立された基準を満たすように迅速かつ完璧に動作しているかどうかを判断します。
- もしそうでなければ、プロセスの前のステップに戻り、修正を加え、再テストを行い、満足のいく結果が得られるまで繰り返します。
- 満足のいく結果が得られれば、次のステップに進みます。
手順4:マップの最後に、製品デザインの全体的な目的をバブルフレームで表現します。今回のケースでは、チームは「ソフトウェアの強化が完成、発売準備完了」となり、その成功と次の製品開発段階への移行を意味します。
また、MindManagerのような強力なビジュアライゼーションツールを使えば、製品開発のロードマップをより簡単に作成することができるでしょう。
この記事は、Create your own product development roadmap: instructions to get you started | MAY 13, 2021 を翻訳したものです。